- 映画『探偵はBARにいる』シリーズ1〜3作の時系列とストーリー概要
- 大泉洋が演じる“俺”の魅力とキャラクター変遷
- シリーズが愛される理由や見どころ、泣ける名場面
シリーズの魅力をひと言でいうなら「大泉洋がカッコよすぎる」
日本映画界において「ユーモア」「演技力」「親しみやすさ」の三拍子が揃った俳優はそう多くありません。
そんな中で、大泉洋は唯一無二の存在と言えるでしょう。
『探偵はBARにいる』シリーズは、まさに彼の魅力が全開で発揮されたハードボイルド探偵映画なのです。
ススキノのバーを根城にする無名の私立探偵という、一歩間違えば「地味」に終わりそうな役柄を、大泉洋はユーモアと哀愁、そしてちょっとのセクシーさで絶妙に演じきっています。
普段テレビで見せる飄々とした姿からは想像もつかない、怒りや悲しみを抱えて真実を追い詰めていく探偵像に、観る者は一気に引き込まれてしまうのです。
シリーズを通して見ていて感じるのは、彼の「言葉にしない芝居」の巧さです。
例えば、恋人を失った時、仲間をかばう時、悪党に殴られても口を噤む時……。
決して台詞では語られない、“男の美学”が、彼の表情ひとつで伝わってくるのです。
こんな男、現実にはなかなかいません!
正直、これまで何度も「大泉洋って面白い俳優さんだよね」と思ってきましたが、
『探偵はBARにいる』シリーズで完全に惚れました。
お笑いも司会もこなしながら、ここまで人間味と陰影のある探偵を演じられる俳優は、日本広しといえど彼だけです。
では、次は時系列に沿ってシリーズ第1作から順に、その魅力を紐解いていきましょう!
『探偵はBARにいる』(2011)|シリーズの原点、札幌ススキノで繰り広げられる骨太ハードボイルド
シリーズ第1作『探偵はBARにいる』は、大泉洋演じる“俺”が、正体不明の依頼人からの一本の電話をきっかけに事件へと巻き込まれていく、ススキノ発の本格ハードボイルド・ミステリーです。
舞台は、札幌すすきの。
行きつけのバー「ケラーオオハタ」から始まる物語は、バーと路地と雪の匂いが混ざり合う、まさに北国ならではの空気感をまとっています。
この作品の魅力のひとつは、やはり「素性を語らない探偵」という主人公のミステリアスな存在感です。
しかもただ無骨なだけでなく、時にユーモア、時に哲学的、そして何より「依頼人を守る」という信念を最後まで曲げない姿に、心を奪われる人も多いでしょう。
初登場時の大泉洋の魅力は、冴えないけど頼れる、情けないけどカッコいいという“人間味”の塊のような探偵像。
この“俺”とタッグを組むのが、松田龍平演じる相棒・高田。
大学の助手で空手の達人という、突拍子もない設定ながら、不思議と作品世界に馴染んでいて、バディものとしても完成度は高いです。
さらに、第1作は札幌の再開発利権をめぐる殺人事件や放火事件が絡み、リアルな社会背景も描かれており、大人が観ても見ごたえ十分。
アクションあり、ロマンスあり、そしてたまに笑わせてくれる…。
「この映画、なんかクセになるな」と思った方、それが『探偵はBARにいる』の魔力です。
『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(2013)|友情と悲しみの交錯…マサコちゃんの涙に心を打たれる
前作の大ヒットを受けて制作された第2作『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』は、シリーズ中でも最も“泣ける”作品といっても過言ではありません。
ススキノの有名ゲイバーで働く人気者・マサコちゃんが、ある日突然遺体となって発見される――。
探偵と高田がその死の真相を追うなかで見えてくるのは、複雑に絡み合った人間関係、そして政治と暴力団の黒い結びつき。
今作では、ゴリ(ガレッジセール)が演じるマサコちゃんの存在感が圧倒的です。
ユーモラスで、優しくて、夢に向かってひたむきなその姿に、観ている側も彼女を失った探偵と同じように胸を痛めるはず。
この感情の連鎖を作り出せるのは、やはり大泉洋の芝居力の高さがあってこそ。
特に中盤、マサコちゃんの妹であるヴァイオリニスト・弓子と探偵が心を通わせていくシーンは、
大泉洋にしかできない“静かな色気”がじわりとにじみ出ていて、感情移入せずにはいられません。
ただハードボイルドなだけじゃない。
この作品を観て改めて感じるのは、探偵が「ただのキャラ」じゃなく、「人」としてそこにいるということ。
それはつまり、大泉洋が役を生きている証拠なのだと思います。
友情、涙、報われない恋、そして暴力――。
第2作は、シリーズ中でも特に感情の波に飲まれる深い1本です。
心に刺さるセリフの数々も、観終わったあとにじわじわ効いてきます。
『探偵はBARにいる3』(2017)|美しき依頼人・北川景子と“俺”のほろ苦い結末
『探偵はBARにいる3』は、シリーズの中でも最も切なく、美しい“ラブストーリー”の一面を持つ作品です。
探偵のもとに現れた依頼人・岬マリ(北川景子)は、そのミステリアスな魅力で“俺”の心をかき乱していきます。
いつものユーモラスな探偵が見せる、「一人の男」としての弱さと情熱。
これまでにない“大泉洋の表情”が垣間見える作品です。
特に印象的なのは、マリとの距離が縮まっていくシーンでの静かな視線のやりとり。
多くを語らないのに、すべてを悟らせるあの演技……。
言葉以上に、まなざしで語る大泉洋の真骨頂が炸裂しています。
また、第3作ではシリーズでおなじみの高田(松田龍平)との掛け合いも健在。
淡々としているようで信頼感がにじみ出る相棒関係に、ファンとしてはニヤリとさせられます。
まさに「バディもの」としても完成度が高いのがこの作品の魅力です。
そして何より、ラストが衝撃的。
ハードボイルドという枠を超えて、一人の女と男の行く末に胸が締めつけられる結末が待っています。
この余韻こそが、“探偵シリーズ”が単なる娯楽映画にとどまらない証なのかもしれません。
どこか古臭くて、でも最高にカッコいい。
大泉洋が体現する「探偵像」の集大成ともいえる第3作。
間違いなく、シリーズの中で最も“沁みる”1本です。
愛され続ける理由とは?シリーズ人気の秘密に迫る!
『探偵はBARにいる』シリーズが長年にわたって支持されている理由は、一言で言えば、“大泉洋のすべてが詰まっている”からです。
笑い、哀しみ、渋さ、優しさ、泥臭さ――。
この映画シリーズには、彼が持つあらゆる魅力が凝縮されているのです。
加えて、舞台となるススキノの街もまた、大きなキャラクターの一人。
ロケ地のリアルさが、物語の重みを支えています。
どこか寂しげで、でも温かく、“俺”がそこにいて当然の街。
また、毎回登場する個性豊かなゲストキャストも見どころの一つです。
小雪、尾野真千子、北川景子など、強い女性キャラが物語に彩りを添えることで、男くささだけではない“色気”が加わっています。
何より、大泉洋の“探偵”という役柄が、回を重ねるごとに成長していくのも見逃せません。
1作目ではどこか飄々としていた彼が、3作目では人間として深くなり、「守りたいもの」を明確に持つ男になっているのです。
それはまさに、大泉洋という俳優自身の成熟でもあります。
バラエティでもドラマでも映画でも、常に全力で「その場を生きる」姿勢が、画面越しにビシビシ伝わってくる。
だからこそ、私たちは彼を好きにならずにいられないのです。
『探偵はBARにいる』は、ただのシリーズものではありません。
“生き方”を描いたドラマであり、“男の美学”を感じる物語です。
観たことがある人は、また観たくなる。
観たことがない人は、きっと好きになる。
そう断言できるシリーズです。
- 『探偵はBARにいる』シリーズの全3作を時系列で解説
- 大泉洋が演じる“俺”の魅力と進化に注目
- 第2作は感動の友情、第3作は切ない恋がテーマ
- 舞台となる札幌・ススキノの雰囲気が作品の味に
- 相棒・高田とのバディ感が全編を通して光る
- 各作品のゲストキャストも豪華で印象的
- 笑って泣ける、大人向けのハードボイルド映画
- 大泉洋の“すべて”が詰まった代表作といえるシリーズ
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